2011年12月3日土曜日

こういうアメリカもある


金曜の夕方、私はなぜか名門ジョージタウン大学のキャンパスにいて、驚くべき小さな発見をしました。

クリスマスツリーの点灯式みたいなイベントがあり、学生たちが合唱や演劇を楽しんでいました。

なかなか歌うまいじゃんなんていいながら見物していたんですが、突然かみさんがひとこと、

おデブさんがいないわねえ ...

そう言われてあらためてあたりを見回してみると、たしかにスリムな学生ばっかり。

世界に冠たる肥満大国、3人にひとりがおデブさんというアメリカでこの光景はちょっと不自然。

少しくらいはいるだろうと思って首をの伸ばしてみても、ほんとにみんな痩せている。

なんで?!

以下、おデブではないけどアメリカ人のかみさんの解説によって謎が解き明かされていきます。

私 こいつら勉強しすぎでちゃんと食ってないのかね?

妻 なことないわよ。 みんないいとこのお坊ちゃんお譲ちゃんだからよ。

私 あー、金持ちの家の子たちなのか。 東大生の出身家庭も高収入だっていうから同じだな。

妻 アメリカの大学ってとんでもなく学費が高いからねー。


そうそう、以前けっこうきわどい話題をご紹介しましたが、アメリカでは学費の値上がりが進んでいるせいで、親にかなりの経済力がないといい大学には入れない。

まるまる親がかりの学生は少なくて奨学金をとるのが一般的ですが、それでも一流校の場合は親の出費もかなりのもの。


私 でもさ、お金持ちの子だったらいいもんばっかり食って肥満になるんじゃないの?

妻 食生活がひどいのは中流以下の話。 アメリカ人でもある程度以上のクラスの人たちは健康志向がすごく強くて、ヘルシーな食生活の人が多いの。

私 いったん染み込んだ生活習慣は変わらないってことか。

妻 こういう集団のなかにいると、太っちゃったら軽蔑される!みたいなプレッシャーもあるかもね。


そういえば思い出したことがある。

実は私、以前に少し勉強したいことがあってジョージタウン大学に通ってたことがあるんですが、学内のラウンジで昼食をとるとき、いつも気になる光景がありました。

男女を問わず、学生たちが小食なんです。

たとえば、太ってはいないがけっこう体格の良い男子が、小さなサンドイッチ1個と片手に乗るくらいのサラダでランチを済ませている。

急いでいるのかと思ったが、悠々と本を読んでいて時間はある様子。

おいおい、俺のほうがいっぱい食ってるぞみたいな学生ばっかりだった。

うーん、確かにそうだったなあ ...


妻 でしょ? それがアメリカの上流ってやつなのよ。

私 だけどさ、ここの学生みんなが金持ちってわけじゃないだろ?

妻 そうね、普通の家庭の出身で奨学金とバイトに頼って頑張ってる子もいるわね。

私 そりゃ大変だ。

妻 そういう子ってのはスポーツやボランティアなんかの課外活動をしっかりやってることが多いのよ。

私 成績以外にそういうところも入学の条件になるからな、アメリカは。

妻 でも課外活動ってのは受験のためにやってるんじゃなくて、その子のライフワークになってる場合が多いから、大学でも続ける。 

私 うわ、忙しそうだな。

妻 あちこち飛び回って忙しくしてるとなぜかおデブにはなりにくいのよね。 人間ってそうできてるみたいで。 

私 なるほどねえ。 でも、これだけ見事におデブのいない風景ってのは、ちょっとアメリカじゃない感じがして不思議やなー。

妻 よかったじゃない、少数には違いないけど 「これもほんとのアメリカ」 ってのが見れたんだから。


とまあ、そんな落ち着きどころに至った12月の宵の口。

そうそう、こんなイベントに学生が集まっていると、クリスマスシーズンをのんびり楽しんでいるように見えるかもしれませんが、図書館へ行くと机という机に学生がしがみついて勉強しています。

課題提出の時期ということもありますが、図書館は週末でも深夜まで満員。

シンと静まっていながらも鬼気迫る雰囲気が毎日明け方まで続くといいますから、アメリカの大学生はほんとによく勉強しています。

「日本の3倍」 とかいったら彼らに叱られるかもしれません。

たぶん10倍は勉強してるでしょう。

(てことは俺の20倍か ...)

とにかくグイグイしごかれ、バリバリ勉強するアメリカの大学生。

日米のこの違いがいったいどんな差になって現れているのか、今後現れてくるのか、私にはわかりません。

だけど、こいつらこれだけ頑張ってて、どこかで大きな差がつかないわけがない。

そう思わせるだけの迫力を、このスリムな若者たちの後ろ姿に感じました。

健康な体、磨かれる知力、鍛えられる気力。

そこからどんなエネルギーが吹きだすことになるのか。

「こういうアメリカもある」 ではなくて、「これがアメリカだ」 というものを見せられたような気がしています。
 
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